認知症の中では最も多く、認知症の70%を占めるといわれています。
アルツハイマー型認知症を診断するにあたって、もっとも重要なことは、家庭でのもの忘れに関する具体的な出来事を聴取することです。アルツハイマー型認知症では、エピソード記憶(日常生活での出来事)を忘れることから始まることが多く、忘れたことを取り繕おうとすることが多いとされています。症状が進むにつれ、失語(単語が出てこない)、失行(リモコンなどの使い慣れたものが使えなくなる)、失認(ものを捉えることができなくなる)などの症状が出現してきます。
症状が進行してくると
認知症の周辺症状(BPSD)と呼ばれる症状が出現することがあります。具体的には暴言や暴力、興奮、抑うつ、不眠、昼夜逆転、幻覚、妄想、せん妄、徘徊、失禁などです。物忘れの症状よりも介護者に負担となる症状ですので、 生活環境の調節や薬物を使用し、症状を和らげていきます。
検査では身体所見を取り、頭部画像で萎縮の部位や程度の確認を行います。必要に応じて脳の血流を測定することもあります。
治療としては大まかに2種類あり、コリンエステラーゼ阻害薬とNMDA受容体阻害薬です。
どちらも記憶力などの認知機能を改善しますが、それプラスの効果があり、症状により使い分けたり、合わせて内服を行います。
コリンエステラーゼ阻害薬
アリセプト(ドネペジル)
1日1回で済むので飲みやすいです。元気がない方が飲むと元気が出ることがあります。そのためうつ傾向のある時に使うことが多いです。時に元気が出すぎて興奮しやすくなることがありますので注意が必要です。
レミニール(ガランタミン)
1日2回内服が必要ですが、アリセプトよりも興奮することが少ない印象があります。
リバスタッチ(リバスチグミン)
貼り薬となるので、服用の管理がしやすいです。しかし、貼っていると皮膚がかゆくなってくる人もいるので、その場合は軟膏を調節します。怒りっぽい方が使うとすこし落ち着くことが多い印象があります。また幻視などの症状にも効果が強い印象があります。
NMDA受容体阻害薬
メマリー(メマンチン)
1日2回内服です。興奮や怒りっぽさに効果があるとされています。また迷子や椅子にまっすぐに座れないなどの空間認知機能もすこし改善する印象があります。